核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

濱川栄「中国古代儒家文献に見る反戦思想(1)─『易経』『書経』『礼記』『論語 』─」.その1

 『常葉大学教育学部紀要.』二〇一六年三月。今回は『論語』の反戦思想に絞ります。
 孔子本人が必ずしも平和主義者ではないことは前回も述べましたが、弟子の中には例外が。
 「顔回」という固有名は論語本文にはでてきませんが、定説では顔回のことと解釈されているようです。
 「害されてもしかえしはしない」というのは個人レベルの話で、国家間のことについてもそうだったのかはわかりませんが、孔子の弟子としては例外的といえるでしょう。以下、濱川論の訳文より引用。

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  孔子の優秀な弟子であった曾子が、それ以上に優秀な弟子で孔子が最も愛した顔回(顔淵)について、「才能があるのに無いものに教えを乞い、知識が豊かであるのに乏しいものに教えを乞い、有っても無いように、充実していてもからっぽのようにふるまい、害されてもしかえしをしない。昔、わが友の顔回はそのようにつとめたものだ」と回顧した一文である。
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