核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

特攻隊員が読んだ「烏の北斗七星」

 すでに多くの指摘がありますが、佐々木八郎という特攻隊員の遺書に、宮沢賢治「烏の北斗七星」への言及がありまして。

 

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 我々がただ日本人であり、日本人としての主張にのみ徹するならば、我々は敵米英を憎みつくさなければならないだろう。しかし僕の気持はもっとヒューマニスティックなもの、宮沢賢治の烏と同じようなものなのだ。憎まないでいいものを憎みたくない、そんな気持ちなのだ。正直な所、軍の指導者たちの言う事は単なる民衆扇動のための空念仏としか響かないのだ。

 新版『きけわだつみのこえ』 岩波文庫 一九九五 二〇六頁

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 一九四三年のクラス会でこのエッセイを朗読したそうです。勇気ある発言と思います。