核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

濱川 栄「中国古代儒家文献に見る反戦思想(5)『新語』『新書』」

  常葉大学教育学部紀要 = Tokoha University Faculty of Education research review (40), 25-39, 2020-03。

 中国古代の反戦思想を追うシリーズ第五弾。CiNiiで本文が読めます。

 濱川氏は前漢期の『塩鉄論』にある絶対平和主義思想の、そのさらにルーツを追っていらっしゃるわけですが、今回の『新書』は確実に『塩鉄論』に影響を与えた書物です(私はどちらも未読)。

 『新書』に見られるのは、民が第一に求めるのは「生命の安全」であるという、ありそうで意外となかった生命尊重主義です。その思想から国内の平和、国外(匈奴)との融和を『新書』は説いています。

 儒教道徳といっても、予想外に大きな振幅があるものです。こうした絶対平和主義の思想が後世に受け継がれず、まして日本にまで伝わらなかったのは惜しまれるところです。