※
概して,我々はこういう真実を認めたがらない。我々各人には,悪は我々
の外にあり,悪を犯した化け物と共通点は何もないと考えることがはるか
に都合がよい(現代でも,散発的に起こる「異常な」犯罪に対し,同じ反
応が見出される)。我々がコルイマやアウシュヴィッッを忘れたいのは,
収容所の悪が人類と無縁でないことを見るのを恐れてである。またこの恐
れが,我々に善の勝利するまれな物語を好ませる。
の外にあり,悪を犯した化け物と共通点は何もないと考えることがはるか
に都合がよい(現代でも,散発的に起こる「異常な」犯罪に対し,同じ反
応が見出される)。我々がコルイマやアウシュヴィッッを忘れたいのは,
収容所の悪が人類と無縁でないことを見るのを恐れてである。またこの恐
れが,我々に善の勝利するまれな物語を好ませる。
大学出版局,1992年,183ページ。
※