森鴎外の秀麿四部作は、「同調圧力発生装置」について語っているのではないかと考えています。
「かのやうに」は擬制、「吃逆」は宗教、「藤棚」は皇族、「鎚一下」は強権と実業。
要は新時代の人間はほっとくと何やりだすか分からないから、我々上流知識階級の手で、彼らを押さえつける、あるいは彼らが押さえつけ合える何かを発明しようという、下々の者にとってはありがた~いお話しです。
特に「吃逆」(しゃっくり)に顕著なのですが、恐れ多くも子爵家たる秀麿さまが、芸者ふぜいに教えを垂れてやる、という教化意識が見て取れて、あまりいい読後感はありません。
たぶん私は鴎外で論文を書くことはないでしょうが、自分なりに鴎外観をまとめておく必要はありそうです。ついでに同調圧力観も。