核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

神功皇后の卑劣な兵器廃絶論

 古代中国史で「弭兵」(戦争廃止)の試みがあったことは何度も書きました。
 日本史にも弭兵はないものかと調べたら、「弓を弭(はづ)し兵(つはもの)を蔵(をさ)めつ」の一節が、『古事記』の神功皇后のくだりにでてきました。

 ただし、卑劣きわまりない形で!

 要約すると、神功皇后は「戦争をやめよう」と言って自軍の弓の弦をはずし兵器を捨てたわけです。敵の将軍はそれを信じ、自分たちも弓をはずし兵器を捨てました。

 そして神功皇后軍はあらかじめ髪に隠しておいた予備の弦を装備し、敵軍(といっても外国ではなく、別の皇妃から産まれた皇子が率いる、同じ日本人です)を壊滅させた……という物語です。

 まったく腹立たしい話で、こんなのを誇らしげに記述する古事記編者の気が知れません。武を瀆(けが)すとはこのことです。

 現代の核廃絶論議も同じようなものだ、というシニカルな見方もあるかもしれません。表では古くなった兵器を撤廃すると見せて、裏では最新型の兵器をこっそりと開発し、という具合に。

 しかし、私はこれを日本の恥、野蛮の証拠と見ます。ほんものの弭兵を実現した古代中国人から蛮人よばわりされても仕方がないところです。

 しかも、神功皇后天皇家の最悪の例ではないのです。「雄略」天皇や「武烈」天皇の所行についても、気が向いたら語りたいと思います。