核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

ミヒャエル・エンデ『鏡の中の鏡―迷宮』にも

 『ヒール・ヒトラー』に通じる問題提起がありました。短編の題は確か「あらためて火ぶたが切られた」だったと思います。本が手元にないもので。

 反乱を起こした民衆から逃げてきた独裁者に、何物かが子守歌を歌い、独裁者を子供に戻してしまう……といった幻想的な内容でした。

 童話作家エンデは1929年生まれで、命がけで反ナチス運動に参加したこともあり、独裁者を甘く見てそういう小説を書いたわけではない、と思います。

 ただ、独裁者を絶対悪とみなして抹殺するのでは、「前に千回もあった話、これからも千回も繰り返される」(というセリフがあったと記憶しています)、殺りくの繰り返しになるだけだと感じていたのではないでしょうか。