核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

夏目漱石「薤露行」(一九〇五(明治三八)年)

 「かいろこう」。題名からして難解です。

 ふとアーサー王伝説に興味がわいて、新潮文庫『倫敦塔・幻影の楯』を引っ張り出して読んでみたのですが……筋を追えたかも疑問です。明治文学研究者としてふがいない話ですが、村井弦斎のわかりやすすぎる文体に慣れすぎてしまったようです。反省。

 アーサー王の王妃ギニヴィアと、円卓の騎士の一人ランスロットの不倫の恋を描いた作品で、地の文は口語体ですがセリフは文語体。不倫がばれた王妃は騎士モードレッドたちに告発されて窮地に陥るのですが、そこにランスロットに片思いして死んだ少女エレーンを乗せた小舟が流れ着きます。ランスロットの恋人はエレーンだったことになり、不倫疑惑はうやむや……ということでいいのでしょうか。

 江藤淳はこの作品で博士論文『漱石アーサー王伝説』を書き、大岡昇平の批判を受けたそうですが、私はまだどっちも読んでません。昔読んだ別の本の記憶では、確か円卓の騎士たちはアーサー派とランスロット派に分かれて同士討ちしていくことになってたはずでした。午前中だけ強くなる、ガウェインという騎士だけ記憶に残っています。『燃えろアーサー 白馬の王子』なんて懐アニメもあったなあ。