核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

石原慎太郎の盗作疑惑四つ―栗原裕一郎 『〈盗作〉の文学史』 新曜社 2008 より 後編

 栗原著412~414ページより・・・
 
 「「傷のある羽」、『オール読物』一九六三年一月号に発表。『別冊新評 裸の文壇史』の「戦後日本文壇事件史年表」に、「アーネスト・ガン「悲劇と脱出」に酷似。作者の”考慮不足”が指摘される(37・11)」とあるのだが、どこで誰に指摘されたのか書かれておらず委細不明。それとおぼしき報道も見あたらなかった。
 アーネスト・ガン『悲劇と脱出』は一九六二年八月に河出書房新社から小野寺健訳で出た」
 
 「「栄光の略奪」、『宝石』一九六七年十月号に発表。佐野眞一が石原の評伝『てっぺん野郎』で、『佐藤栄作日記』に発見した次の記述を引用している。
 「石原慎太郎君、盗作事件で一寸心配だと相談に来る。(略)小生が出ては何だか力に頼りすぎる感ありて穏当ならず」(一九六八年二月四日付)」
 
 ・・・佐藤栄作は1968年当時の内閣総理大臣。盗作発覚のあとしまつを総理大臣に頼んで、逆にお説教され門前払いされる文学者というのもそうはいないのではないでしょうか。「栄光の略奪」とそのもとネタは未読ですが、石原の行動そのものが疑惑を裏付けています。私は彼と同じ行動原理を持つ人間を、少なくとも二人知っています。
 今日中に終わらせるべき仕事があるので、石原慎太郎関係の報告はまた今度にします。