核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

関口すみ子『漱石と戦争・植民地 満州、朝鮮、沖縄、そして芸娼妓』(東方出版 二〇一八)

 先日入手しました。

 

 水川隆夫『夏目漱石と戦争』(平凡社新書 二〇一〇)

 小森陽一『戦争の時代と夏目漱石 明治維新150年に当たって』(かもがわ出版 二〇一八)

 

 に続き、このテーマでは3冊目の入手です。

 で、関口著ですが、ほぼ同時(ともに二〇一八年一二月)に出た小森著にふれていないのは仕方ないとしても、八年前に出た水川著への言及がないのが気になります。

 

 追記 ありました!二四頁および五四頁の注、および該当する本文に水川著への言及がありました。訂正して謝罪します。

 

 資料面でも、水川著で言及された漱石晩年の二つの書簡、

 

 「戦争が始まりました。たまにはあんな事も経験のため好からうと思ひます」

 「戦争は悲惨です。以上」

 

 にふれていないなど、情報量に疑問が残ります。

 

 追記 水川著そのものへの言及があったのは上記追記の通りですが、この二つの書簡への言及はなかったので、上4行はそのままとします。

 

ちょっと話題を変えるか

 研究とは直接関係のない話を。

 私は最近、『封神演義』関係に没頭していまして、藤崎竜の漫画方面の展開から、元になった殷周革命の記録まであれこれと検索しています。横山光輝版も気になってはいますが未読。

 殷の王妃、妲己(だっき)が実は狐の妖怪で、天竺の華陽夫人や日本の玉藻前(たまものまえ)と同一存在であるという伝承があるのは知っていましたが。

 華陽夫人(天竺)→妲己(殷)→玉藻前(日本)と真東に移動したのかと思ったら違うようです。高井蘭山『絵本三国妖婦伝』(一八〇三ー一八〇五)を孫引きすると、

 

 「唐土(もろこし)殷の紂王の后妲己と変じ、紂王を蕩かして国を亡ぼし、夫より天竺に渡りて班足(はんぞく)太子の愛妃華陽夫人と号し、政道を擾(みだ)り再び唐土に帰り、周の幽王の后褒似となり周室を傾け、其後日本に来り玉藻前(たまものまえ)と現じ、鳥羽院の玉体に近寄奉りし・・・・・・」

 

 引用は関口すみ子漱石と戦争・植民地 満州、朝鮮、沖縄、そして芸娼妓』(東方出版 二〇一八 四四頁)より。東奔西走、行ったり来たり、妲己ちゃんも大変です。

 小説『封神演義』(集英社文庫)では妲己は最後に退治されているので、その先は風評被害ということに。まあ、名前ありキャラだけで三六五名も巻き添えを出して、張本人には逃げられましたじゃ、読者も納得しないだろうし。

 と思ったら、それに近い結末のサブカルもありました。あれも『絵本三国妖婦伝』にはつながりそうもない結末ですが。

 

「差別の止め方」よりも、「戦争の止め方」を優先する理由

 大学院博士課程に進んだ当初は、「差別と文学」を扱うつもりでいました。

 反戦文学に軸足が移動したのは、木下尚江や村井弦斎という作家に出会い、入れ込んだせいももちろんありますが(無計画な話です)、より根本的には、差別の止め方よりも戦争の止め方(あるいは、より一般的には暴力的闘争の止め方)を優先すべきだと、判断したからです。

 暴力的闘争の止め方をきっちり確定しておかないと、たとえば差別される側の、差別する側への暴力を正当化することになりかねません。「おれたちゃマイノリティ様だ、マジョリティどもには何をやってもいいぜ」になっては困るのです。

 先日も、圧倒的少数派(の人々)による圧倒的多数派(の一人。マジョリティも一人の時は一人です)への、暴力的としかいいようのない対応を、ネット上で眼にしまして。

 まず暴力的でない対話の技術を確立することが、最優先だと思うのです。

 

笙野頼子『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』(講談社 二〇一七)読了

 熟読しました。私は特に愛猫家ではないので、猫の世話関係の描写にはあまり感情移入できませんでしたが。

 「文学で戦争を止めよう」という大方針には、まったく賛成であり、茶化したり冷笑する気はまったくありません。が。

 この著書のいう「文学」とは、「私小説」でして。要は

 

 「猫と私の薬代が払えなくなる。だから戦争反対。TPP反対」

 (原文そのままではありませんが、ほぼそういう趣旨)

 

 という主張に集約されるわけです。

 一応、いつか『戦争の止め方 敗戦後編』を書く時のために、記憶し保存しておきます。私小説ではない戦争の止め方については、前の論文で一通り論じた・・・・・・はずですので。

エリシャ事件で検索してたら

 「旧約聖書のエリシャとかいうハゲwwwwwwwwwwwwww」というスレで、 以下のようなレスが見つかりました。

 

   ※

 21:名無しさん@おーぷん
これ読んだ時
「なんでその場でモワッと増毛して見せんかったんや?」
という疑問持ったわ

そして「神は全能ではない」と結論した

   ※

 

 それな。最適解です。