核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

加藤尚武『戦争倫理学』(ちくま新書 2003)より 「武力行使なき武力抑止は可能か?」

 示唆に富む同書の中でも、これはと思った箇所を書き写しておきます。

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 問題の核心にあるのは、武力行使を予防したり、発生した武力行使を停止させたりする手段として、武力行使を含まない平和的な方法が存在するかどうかである。
 (略 経済制裁は戦争を防止するだけの力を持たないが)
 戦争についての人類の文化が、どのような武力行使に対しても対抗できる平和的な手段が存在するという事態に到達することを、私は願う。そのためには、すべての国が軍備の縮小をして、使える武力を弱めていかなくてはならない。軍縮そのものは、その当の国に利益をもたらすのだから、けっして不可能ではないと思う。
 どのような武器の製造も、現在の核兵器管理よりもきびしく監視され管理されるという体制ができるなら、やがてはすべての対人火器が製造禁止されるという世界になるだろう。
 加藤尚武『戦争倫理学』(ちくま新書 2003 156ページ)
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 14年後の今日、迂遠と思われる方もいるかもしれませんが、私は加藤氏の意見(武力行使なき武力抑止)に賛同します。