核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「万国公法ハ争利世界ニ行ハルベキ乎」(『東京日日新聞』一八七八(明治一一)年四月五日)

 「万国公法ハ法ニ非ザルナリ」で始まる、無署名の社説。
 なぜなら万国公法にはそれを守らせる主権者がいないから……というわけで、西洋諸国がいかに万国公法など顧みず、自国の利益のみを追求してきたかを例示しています。
 ここまでは事実認識として正しいと思うのですが、そのあとがいけません。

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 我国ニ於テモ亦同ジク我国ヲ利スルヲ心掛ケ一挙手一投足ミナ只利益ノ在ル所ニ従テ政略ヲ立テ
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 英魯の戦争でも起これば、どさくさまぎれに我国の利益をはかるべきだとか論じています。
 「ルールを守る者がいない」という事実認識と、「だから自分もルールを破っていい」という行動原理は別でして。志が低い社説といわざるをえません。これが「吾曹」名義(福地桜痴)でなかったのはむしろ幸いでした。