核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「政治ハ道理ニ由ルベキ乎将タ輿論ニ従フベキ乎」(『東京日日新聞』一八七八(明治一一)年五月二四日)

 西洋文明のさらにその先を望見する、壮大な論説。判読不能な文字が数か所あるのが惜しまれます。以下、判読できた箇所のみ要約します。

 蛮野の肉体世界から文明の智力世界へとへと進んだ人類は、やがて徳義の黄金世界に到る、と著者は主張します。
 しかし、我輩(著者)の見る所では、時の政府が必ずしも道理をわきまえているとは限らない。だから政治は不確かな道理に従うのではなく、その時代の社会公衆が求める輿論に従わなければならない。
 「ソコラテス」や「ゼーシユス」(JESUSですね)の二聖の刑死を見てもわかるように、道理をもって政治の輿論を制することはむずかしい。輿論は帆船にとっての風潮のごとく、政治が従うべきものである。

 ……論旨がねじれてる感はありますが(この論者も、「である」と「べき」を混同しているようです)、天皇とか藩閥ではなく、輿論に政治が従うべきだという意見は、貴重なのではないでしょうか。