最初に読んだ時は「所詮マルクスではないか」と思ったものですが、再読して印象が変わりました。
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革命闘争の間、そして大躍進や文化大革命の時期にはさらに輪をかけて、毛沢東の政治的焦点は農民階級―あるがままの(原文傍点)農民ではなく、可能性としての(原文傍点)農民-に向けられた。毛沢東主義のプロジェクトの本質は、農民を政治的に変革するための努力にあったといえる。農民は長期にわたる革命プロセスのさまざまな段階を経ることによって、マルクスが認識していた受動性と孤立を克服し、コミュニケーション能力をもつ協働的な存在となり、能動的な集合的主体として統合されるようになるというものだ。
毛沢東主義のプロジェクトが世界のどこにでも適用可能なのは、おもにこの意味においてである。
『マルチチュード(上)』 二〇八ページ
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……その大躍進や文化大革命が、数千万人単位の犠牲者を出したと何度いえば。
一九六八年頃の大江健三郎あたりの発言ならまだしも、原著は二〇〇四年です。大躍進や文化大革命の悲惨さがとうに知れ渡った時期に、著者たちは「毛沢東主義のプロジェクトが世界のどこにでも適用可能」と書いて
いるわけです。