ムフに批判されている側の言い分も聞こうと思い、『マルチチュード』上下巻なんてものを借りてきました。
日本語版で二〇〇五年刊。今まで読んでなかったのかという批判は甘んじて受けます。ムフより知名度ははるかに上なのに。
で、一回通読してみた感想ですが、ネグリ&ハートもまた、「敵にどう対処するか?」という問題にはあまり関心を持っていられないように見受けられました。つまり、アメリカ新保守主義とかイスラム原理主義といった、どう考えてもマルチチュードに取り込めそうもない存在について。
マルチチュードとは、労働者階級でも大衆でも国民でもない人間の集まりなんだそうで、ある個所で「大勢」と書いてマルチチュードとふりがなをふった箇所がありましたが、そのあたりが適訳かと。で、そのマルチチュードの連帯によって、上記のような敵に抵抗しようというのがおおまかな主張なのですが。どう抵抗するのかというと、どうも明白さを欠いている気がしました。
このままだと感想文の域を出ないので、もう一度読み返して書こうと思います。『日本文学』の最新号も届いたし、今日は充実した一日になりそうです。