核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

サムナー「戦争論」 その2 もし人類が一つの集団なら……

 もし人類が一つの集団になれば、集団間の戦争もなくなるのでは。といった方向性には、サムナーははっきりと懐疑的です。

 

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 平和は普遍的なものでありうるのか。そう信ずるべき理由はない。平和集団を次第次第に拡大してゆくことによって、ついには平和集団が全人類を容れることができると考えるのは誤謬である。それではどうなるかといえば、平和集団が大きくなるにつれて、利害関係の多様化のため、相違や不一致や対立や戦争が集団内部に発生する、悪念が人間性の一部で、いつの時代にもすべての社会に存在するものであるかぎり、社会のエネルギーの一部は、たえずその抑圧のために費やされる。すべての国が、もう武装艦などもたないと決意すれば、海賊がまた大洋に現れるであろう。

 (七五頁)

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 ……兵器廃絶をめざす者には都合の悪い結論ですが、前半の論旨には(しぶしぶと)同意せざるをえません。人類を一つの集団にしていくタイプの平和主義には、実は私も懐疑的です。

 ではどうすべきか。ここからはサムナーが語らなかったことですが、集団の拡大ではなく、集団「間」の平和の技術といったものを私は追求しています。それもまた困難であることは承知の上で。海賊との平和、カルト宗教原理主義者との平和、テロリストとの平和といったものを、無抵抗主義や敗北主義ではなしに、考えていくということは。