近藤勇とくれば土方歳三。歌舞伎『女浪人』では該当する役を、二代目市川猿之助が演じ、述懐しています。
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今度の歌舞伎座では辻形由蔵(つじかたよしざう)といふ役ですが、あの伏見町の戦争の場で、薩州方と大いに戦つてみんなを斬つてしまふといふ勇ましいところを御覧に
入れてゐますが、全体立廻りといふものが、一つ手が狂つて来ると、それはどんな怪我をするかも知れませんから、此の通り本物の鎖帷子(くさりかたびら)を着けて出てゐます(略)なあーに持つた程着ては重くもありませんよ
市川猿之助「僕の立廻り」 『歌舞伎』一三三号 七〇頁
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なお歌舞伎も史実と同じに、鳥羽伏見の戦いは新選組含む幕府軍の負けで終わるので、ドラマ的にはこのアクション場面はあまり意味なかったりします。
当時の観客は土方歳三の存在を知っていたでしょうか。新選組副長としてよりも、五稜郭にたてこもった賊軍の将として知られていたのかも。
そして本物のチェインメイル。明治末期でも入手できたんだ。