核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

プラトンとアリストテレスの悲劇観

 古代ギリシアの哲学者二人の、対立する悲劇観。

 プラトンは対話篇『国家』の第10巻で、いわゆる詩人追放論を展開しています。要約すると、悲劇がえがくような悲惨や不道徳は、観ると真似したくなるものであり、人を堕落させるからダメだという論旨です。

 一方、アリストテレスは『詩学』で悲劇には、感情のカタルシス(浄化)を達成する効果があると論じています。

 私はこの件では、アリストテレスに賛成です。心の中にたまっている負の感情を、外的な刺激で涙とともにどばーと排出し、すっきりした気分になることは、人間には必要だと思うのです。

 古い議論ではありますが、今日でも上記プラトン的な意見は絶えません。PC(ポリティカルコレクトネス。政治的正しさ)や言葉狩りを文学の中にもちこむことは、有害であると私は考えます。