夏目漱石「創作家の態度」の、奇妙な一節。
「情操を本位とする文学になると、好悪があり、評価があるんだから、篇中人物の行為は自由意志で発現されたものと判じてかからなければならない」
作中人物に自由意志があるものか。すべて作者が決定した行為に決まってるじゃないか。というのが一般常識でしょう。
『三四郎』の予告にも、「あとは人間がかってに泳いで、おのずから波瀾ができるだろうと思う」ともありますが、そんなのはよくある小説家の宣伝文句にすぎない、とも考えられます。
しかし、そうではないとも思えます。作中人物の自由意志、扱った論文があれば読みたいものです。