ジェフリー・S・ヤング著 日暮雅通訳 『スティーブ・ジョブズ―パーソナル・コンピュータを創った男』(上)(下) JICC出版局 1989(原著1988)。
別に成功者のビジネスモデルなんかに興味はないのですが、1980年代のパソコン史には興味津津(きょうみしんしん。「深々」ではありませんでした。慣れない言葉を使うものではありません)でして。
彼の本領は、技術開発よりも人材発掘と引き抜き能力にありました。
「あなたは残りの人生を子どもたちに砂糖水を売って過ごそうっていうんですか?」
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あるとき(1982年ごろ)、スティーブ(ジョブズ)はゲイツ(ビル)にWindowsの仕事から手を引かせようと説得にかかった。Windowsはマイクロソフトが始めたプロジェクトで、これでIBM PCの画面でウィンドウが使えるようになるのである。スティーブに言わせれば、このプログラムは完全にMacintoshから盗んだものだったが、ゲイツはこのアイデアはもともとはゼロックスのものだと反論した。(略)
『いや、スティーブ、そうじゃないさ。むしろ、近所にゼロックスという金持ちがいて、そこに僕がテレビを盗みに入ったら、もうきみが盗んだあとだったということじゃないかな』((下)55~56ページ。かっこ内は引用者)
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・・・で、いったん入社した人材は過酷なスケジュールでこき使い、逆らう者や不要になった者は容赦なく追い出す。Macintosh開発の手柄は自分と仲間だけで独占する。商売敵のIBM社をオーウェルの独裁者ビッグブラザーになぞらえたCMなんかも手がけてますけど(ちょうど1984年だったわけですね)、どう見てもビッグブラザーはジョブズの方です。
で、1985年。三百万ドルの礼で雇った社長のスカリーをはじめ、ほとんどの重役に背かれ、アップル社を追われることになります。この伝記はジョブズが新会社NeXTを立ち上げ、戦いはこれからだといった所で終わっています。
その後のアップル復帰やインターネット、スマートフォン時代についても知りたくなりましたが、またいずれ。
とりあえずジョブズ様。御社の経営理念には賛同できません。子供に砂糖水売ってるほうがいいです。