核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

2024-01-10から1日間の記事一覧

脱炭素文学

前前前前回に引用した、『文庫』誌の読者欄に、村井弦斎の小説はだんとつで売れるのに、尾崎紅葉、幸田露伴のは売れないことを、「悲しいこと」と表現した投稿がありました。まるで、紅葉・露伴の小説は高級な芸術で、弦斎は低級な通俗小説に過ぎないといわ…

村井弦斎『木曽の神秘境』(一九二〇(大正9)年)

『山道楽』という題なら、もう少し売れたんじゃないでしょうか。 『食道楽』の作者、村井弦斎が、多嘉子夫人と娘さん(後の女性登山家、村井米子氏と思われます)を連れて、日本アルプスの山々を旅する紀行文です。 私は高いところが苦手で、つり橋とか丸太…

村上浪六『我五十年』(一九一四(大正三)年)

国会図書館デジタルコレクションで、「村上浪六」「弦斎」で検索したら、さっそくヒットしました。村上浪六の自伝です。 とりあえず、「報知新聞」の章だけ読んでみました。 入社時は月給わずか五円の校正がかりで、社長の矢野龍渓、編集長の森田思軒はもと…

村上浪六はわからない……。

前回紹介した資料で、村井弦斎に並ぶ売れ行きを評価されていた「浪六」。 本名は村上信(むらかみ まこと)といい、「ちぬの浦浪六」の筆名で、一八九一(明治二四)年に出した撥鬢(ばちびん。侠客のこと)小説『三日月』が好評を博し、流行作家村上浪六と…

永峰重敏『〈読書国民〉の誕生』より 地方読者の村井弦斎人気

永峰著の正式な書名は、 永峰重敏『〈読書国民〉の誕生 明治30年代の活字メディアと読書文化』 (日本エディタースクール出版部 二〇〇四) です。日課の「弦斎」を含む語のネット検索で読めました。私のストライクゾーンなのに、これまで上掲書を読んでな…