『山道楽』という題なら、もう少し売れたんじゃないでしょうか。
『食道楽』の作者、村井弦斎が、多嘉子夫人と娘さん(後の女性登山家、村井米子氏と思われます)を連れて、日本アルプスの山々を旅する紀行文です。
私は高いところが苦手で、つり橋とか丸太一本橋を渡る話になると背筋が凍るので、今までこの本は敬遠していたのですが、読んでみるとなかなか面白いです。
食についての関心も健在なのですが、山奥のなんとか仙人は一日にそば粉一合しか食べないとか、粗食・木食・断食系に興味が向いています。
時期的に平和論が出てこないかなと思ったのですが、源平合戦で戦死した地元の英雄、木曽義仲を古代中国の楚の項羽になぞらえ、その死を悼む記述がある程度でした。