核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村上浪六『我五十年』(一九一四(大正三)年)

 国会図書館デジタルコレクションで、「村上浪六」「弦斎」で検索したら、さっそくヒットしました。村上浪六の自伝です。

 とりあえず、「報知新聞」の章だけ読んでみました。

 入社時は月給わずか五円の校正がかりで、社長の矢野龍渓、編集長の森田思軒はもとより、記者先生である村井弦斎、遅塚麗水、原抱一庵よりもランクの劣る社員でした。

 麗水と抱一庵がひそひそと「あの村上は何者なんだ」と噂していたという証言が、抱一庵側の回想にもあります。弦斎らとの個人的な交流はありませんでした。

 ふろくの『報知叢話』を出すに当たって、なぜか村上を気に入っていた森田編集長が、「どうです村上さン貴君(あなた)も何か小説を一篇、書いて下さらないか」と指名し、『三日月』の執筆、そしてブレイクに至ったそうです。