核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

原抱一庵『闇中政治家』も北海道が舞台なのですが

 村井弦斎、遅塚麗水、村上浪六とともに、報知(郵便報知新聞)の四天王と称された、原抱一庵。彼はあの札幌農学校の中退者です(大志を抱かなかった少年です。クラーク博士の直弟子かは知りませんが)。

 その抱一庵の代表作『闇中政治家』を読み返そうと思ったら、どうもネット上にはないらしく。『明治文学全集』で読めたはずなので、今度図書館で読んできます。

 北海道にリアルで在住してた人が書いたわりには、怪物(モンスターとふりがなあり)が徘徊する魔境秘境みたいに、おどろおどろしく北海道を描いてた記憶があります。その一方では天女(フエアリー)にも似た美少年も出てきて、主人公は秘密の大使命の完遂と、どちらを選択するかで真剣に悩んだりもするわけです。

 結末はこのブログでも前に書きましたが、

 

 『日本近代文学』2007(平成19)年11月号(第77集)掲載の浅野正道氏の論文「男たちの挽歌―『闇中政治家』と民権志士のホモソーシャリティ

 

 により精緻な分析がありますので、そちらをお勧めします。

 正直なところ、北海道にそれほど縁があるわけでもない、弦斎『水の月』や麗水『蝦夷大王』のほうが、まだ出来は上ですね。報知四天王最後の一人、村上浪六についてはよく知りませんが、もしかしたら北海道ものもあるかもです。