核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

権左武志『ヘーゲルとその時代』(岩波新書 2013) その2 世界精神がゆく編

 フランス革命後のヘーゲルとその時代。年表形式で要約します。
 
1801年 「ドイツ国制論」。「ドイツはもはや国家ではない」で始まり、古代アテネテセウスのごとき「征服者の力」によるドイツ統一を提唱(52ページ)。
 
1806年 神聖ローマ帝国崩壊。ヘーゲル、イェーナでナポレオンを目撃。ナポレオン支持者に転ずる。
 「私は、皇帝、この世界精神が、偵察するため、馬に乗って町を通っていくのを見ました。一点に精神を集中し、馬上から世界を眺め渡し、世界を支配する個人を見るのは、実際に素晴らしい気持ちです」(92ページ ヘーゲルの書簡より)
 
1813~16年ごろ ナポレオン没落。ドイツ連邦発足。ヘーゲル、「私は、世界精神が時代に対し前進の命令を出したのに従います。……最も確実なのは、前進する巨人をしっかり見失わないことです」(96~97ページ 書簡より)と、ナポレオンを契機とするドイツの改革継続を訴える。
 
1829年 プロイセンベルリン大学総長に就任。翌年『歴史哲学講義』最終年度。
 「ヘーゲルは、イェーナ初期に書いた「ドイツ国制論」では、帝国の再建に賭ける親オーストリアの帝国愛国主義者だった。だが、ライン同盟の改革体験を経た三〇年後には、世俗化の成果を軍事力で守り通し、プロテスタント教会の政治的独立を保障したプロイセンの歴史的意義を、カント同様に承認している。」(174ページ本文)
 
 …私がなぜヘーゲルの人物および哲学に不満なのかわかりました。特に悪意あるまとめ方をしたわけでもないし、実際悪意というほどのものもないけど、好きにはなれません。『法の哲学』『歴史哲学講義』を読んでた時にも感じたんですけど、これが「ミネルヴァの梟は夕暮れに飛び立つ」ってやつなのかもしれませんが、歴史の後を追っかけてるようにも思えます。