核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

権左武志『ヘーゲルとその時代』(岩波新書 2013) その1 時代背景編

 2013年11月20日第一刷。ほやほやです。ヘーゲルの哲学はもうおなかいっぱいですが、その時代背景にはちょい興味があり、読むことにしました。
 ヘーゲル(1770~1831)自身も書いてますけど、当時のドイツは一つにまとまった国家ではありませんでした。中世から続く「神聖ローマ帝国」という枠組みは一応あったものの、実態はプロイセンをはじめとする、300以上の領邦や都市の連合体でした。
 そのころ江戸時代の日本も将軍と三百諸侯の体制でしたけど、まとまりはまだ日本のほうがよかったかもしれません。
 ドイツ領邦諸国は革命後のフランス軍に対抗できず、1805年のアウステルリッツの会戦(『戦争と平和』に出てきたやつですね)時には南ドイツ諸国がナポレオン側につき、ついに1807年に神聖ローマ帝国は完全消滅となります。
 ヘーゲルが生まれたのは、そんな南ドイツの領邦の一つヴュルンテンベルク公国フランス革命勃発時には、友人のシェリングらと「自由の樹」を植えたり、ルソーに心酔して「われわれは国家を超越しなければならない!」とか叫んでた自由主義青年でした。
 …明治時代の、「民権から国権へ」移行していった多くの思想家を知っている身としては、ヘーゲルが後に国家主義者になった経緯もなんとなくわかるのですが、じっくりと読んでみるつもりです。どうせ休日だし、外は大雪だし。