核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

上杉慎吉『日米衝突の必至と国民の覚悟』(1924)

 タイトルの通り、邪悪な米国の世界支配を日本の手で打倒しよう、物量では劣っても精神的には必ず勝つ、といった内容の本なのですが、その中に、

 「永久平和の名の何ぞ偉大なる之を出現するの日本の使命の何ぞ崇高雄偉なる、日米戦争は永久平和の日出である」

 との一節がありまして、「永久平和」での検索にヒットしたわけです。上杉慎吉のごとき国粋主義者であっても、「永久平和」というスローガンの力にあやかりたい誘惑には勝てなかった、それが1924(大正13)年という時代の言語空間だったのでしょう。
 なお、20年後の日米戦争を予言しているように見えるかもしれませんが、そういうわけでもありません。
 上杉慎吉天皇機関説の批判でも知られる、憲法学の第一人者であり、その門下は岸信介など、20年後に活躍(?)した官僚、右翼活動家を多く出しています。予言的中というより、上杉慎吉のこうした思想が日米戦争実現の原動力となった、というほうが正しいようです。