今回は過労死や残業の問題とマルクスを結びつける議論でしたが、やはり納得できませんでした。
過重な労働が労働者たちを苦しめていることは、初期社会主義者たちもさんざん指摘したことであって、マルクスの新発見でもなんでもありません。
それへの対策が問題なのですが、旧ソビエト連邦や中華人民共和国で労働者の待遇はまったく改善されませんでした(下放とかシベリア送りとか)。ソ連や中国のマルクス主義はマルクスの真意ではないというのであれば、たとえば斎藤幸平氏の読んだマルクスはそれとどう違うのかを明らかにせねばならないはずです。今回の番組でそれができたようには思えません。
そもそも、資本家対労働者などという19世紀の図式で、2021年の労働問題を扱うことに無理があると思うのですが……。