核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

『愛々草紙』の由来

 小野梓『愛々草紙』第一駒より。

 

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 野蛮の民に愛なしとハ最と理ある事の葉にて侍りける。国を愛し親を愛し子を愛し夫を愛し妻を愛する事柄ハ皆な是れ文明の事ぞかし。茲に綴り出す一篇の物語ハ名を愛々と称へて

 (『明治文学全集 12』三九五~三九六頁)

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 なんか教育勅語みたいですけど、それより前です。「愛」とか「文明」という言葉がまだ新鮮さを持っていた時代。

 小野梓はどんな構想をこの題名に込めていたのでしょうか。小野自身も体験した幕末維新の動乱が下敷きなのは確かですが。先日紹介した、倒したザコ敵にも憐れみを禁じ得ない主人公像からすると、史実よりはもう少し「愛」のある展開だったのではないでしょうか。