最晩年のフロイトが書いた、歴史小説ともトンデモ本ともつかない著書。
柄谷行人の『探究2』あたりで言及されてまして、ずっと気になっていたのですが、このたびフロイト復習の一環として読んでみることにしました。
聖書出エジプト記の主人公であり、映画『十戒』でも知られるモーセ(モーゼ)。
フロイトによれば、実はモーセは実はヘブライ人ではなくエジプト人であり、それも世界初の一神教提唱者であるイクナートンや、ツタンカーメンの王家につらなる貴族だった。アトン信仰という一神教が衰退した時代、モーセはセム系の民を「選び」、エジプトからの大脱出と一神教再興を敢行したが、民の手で非業の死を遂げたのであった・・・・・・。
ほんとうなら宗教界と聖書学がひっくり返る新説なのですが、これを史実と認める人はいないようです。私はエジプトにも旧約聖書にもそんなにくわしくなく、海まっぷたつの場面しか覚えてないくらいですが、一応、フロイトにつきあってはみます。他のフロイトの著書と同様、話半分のつもりで。