核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

フロイト『モーセという男と一神教』(『フロイト全集22』)

 最晩年のフロイトが書いた、歴史小説ともトンデモ本ともつかない著書。

 柄谷行人の『探究2』あたりで言及されてまして、ずっと気になっていたのですが、このたびフロイト復習の一環として読んでみることにしました。

 聖書出エジプト記の主人公であり、映画『十戒』でも知られるモーセ(モーゼ)。

 フロイトによれば、実はモーセは実はヘブライ人ではなくエジプト人であり、それも世界初の一神教提唱者であるイクナートンや、ツタンカーメンの王家につらなる貴族だった。アトン信仰という一神教が衰退した時代、モーセセム系の民を「選び」、エジプトからの大脱出と一神教再興を敢行したが、民の手で非業の死を遂げたのであった・・・・・・。

 ほんとうなら宗教界と聖書学がひっくり返る新説なのですが、これを史実と認める人はいないようです。私はエジプトにも旧約聖書にもそんなにくわしくなく、海まっぷたつの場面しか覚えてないくらいですが、一応、フロイトにつきあってはみます。他のフロイトの著書と同様、話半分のつもりで。