核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

プラトン『クリティアス』のアトランティス伝説(『プラトン全集 12』岩波書店 一九七五)

 核通は ネタが尽きると クリティアス(心の川柳)。

 そんなわけで、『プラトン全集』がデジタルコレクションで読めると知ったうれしさの余り、アトランティス伝説の起源とされる『クリティアス』を紹介します。オタどん様のムー大陸資料発見にあやかったような企画ですが、こちらはとっくに知られた基本資料です。

 クリティアス(このブログの常連、無神論者クリティアスの祖父、というのが今日の定説。同一人物説もあり)がソクラテスに語る、ヘラクレスの柱の彼方(大西洋)、九千年前の物語。

 

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 クリティアス さて、話によると、この国(アテナイ)は一方の側の軍勢の指揮をとり、しまいまで、この戦争を立派に戦いぬいたのだった。これに対して、相手方の軍勢はアトランティス島の王たちの配下にあったという。このアトランティスは、すでにお話したように、いまは地震のために海に没し、泥土と化して、これがこの国から彼方の海へと船出する人びとの航路をさまたげ、それいじょうの前進をはばむ障害となっているけれども、かつてはリビュアやアシアよりも大きな島だった。

 『プラトン全集 12』二二五頁

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 リビュアはアフリカ、アシアはアジアのこと。それより大きい「島」があるか!とつっこみたくなりますが、古代ギリシア人が知ってるのはせいぜい地中海周辺なので。アシアの彼方の島で弥生式土器作ってる人々のことなど、知るはずもありません。

 なお『クリティアス』の結末は、ゼウスがアトランティス人に罰を与えようと、神々を召集して宣言した・・・・・・というところで終わりです。

 あの哲学者プラトンともあろうものが、師ソクラテスや祖先クリティアスの名をかたって、無責任なホラを吹くはずがない・・・・・・としてアトランティス実在説をとる人も多いのですが、どんなもんでしょうか。私は、あのプラトンだからこそ、ソクラテスやクリティアスの名をかたって、無責任なホラを吹く可能性ありありだと思います。カール・ポパーの著書に毒されてるかも知れませんが。