核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

村井弦斎 「匿名投書」

 報知四天王、第二の刺客。村井弦斎新聞小説第一作(別のペンネームで書いてた説もありますが未確認。黒岩さんに聞いとくべきだった)、近未来小説「匿名投書」(郵便報知新聞連載 1890年(明治23年)7~8月)をご紹介します。
 
 189X(明治23+X)年。シベリア鉄道の開通により、極東への軍事行動を可能にしたロシア帝国は清国と同盟を組み、電撃的侵略で九州・四国・静岡県を占領します。
 若き未亡人結城緑は、はじめは大日本帝国のためと信じて、従軍看護婦として最前線の沼津へ赴き、そこで敵軍の捕虜となります。露清連合軍の負傷兵の看護をやらされることになった緑は、同じような境遇におかれた姉との再会、緑を「アンゲル(天女)」と慕ってくれる傷病兵たちとの交流を通じて、看護という行為そのものに生きがいを見出すようになります。
 しかし、そこに死んだと思われていた緑の夫である軍事科学者、結城鉄之助博士の影が。彼の真意とは?
 (前にも似たような話を紹介しましたけど、別に私は未亡人フェチじゃないですよ)。
 
 衝撃の結末につきましては、黒岩比佐子「『食道楽』の人 村井弦斎」(岩波書店)でネタバレしているので、そちらをごらんください。村井弦斎という知られざる大小説家を紹介した先駆的伝記です。
 実は私もコレで研究発表と論文をやらかしたのですが、発表は「日本文化学講座の恥」とまで酷評され、論文はコメント付きでボツという、私にとっては鬼門というべき作品です。まあ、愛着はあるし、博士論文には組み込むつもりですけど。
 原文を読んでみたい、本作品で論文を書いてみたいという方は、コメント欄にご一報ください。