核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

カフカ 「メシアの到来」

 ある朝起きたら虫になっていた話、『変身』。
 仕事を求めて城のある村にやってきたけどらちがあかない、『城』。
 身におぼえのない裁判に巻き込まれる、『審判』。
 といった不条理(わけわからん)小説でおなじみのフランツ・カフカ(1883~1924)。
 上にあげたのは中・長編ですが、文庫本1~数ページの短編もけっこう残しておりまして。
 池内紀編訳 『カフカ寓話集』(岩波文庫 1998)には、そうした小品が収められています。「メシアの到来」はその一編。
 
 「メシアはやってくるだろう―信仰に対する徹底した個人主義が実現した暁には。(略)もはや必要なくなったときに。到来の日より一日遅れてやってくる」
 
 これ以上引用すると全文になりかねないので、このへんでストップ。
 メシアというのは救い主のことで、ユダヤ教キリスト教では世の終わりの日に出現するそうですが、カフカはそれを「徹底した個人主義が実現した暁」に現れると記述しています。
 「みんなが心を一つにすれば、救いは必ず訪れる」といった宗教家にありがちな信仰とは、カフカの思想は対極にあるようです。
 正直なところ、メシアニズムだかメシア的なものだとかいう代物は、私の理解の彼方なのですが、わからないなりに勉強しておく必要は感じています。大江健三郎よりも、むしろ小林秀雄を読むために。
 
 ・・・といった話とはまったく関係ないのですが、本日のTRPG大会は好評のうちに終わりました。ご協力してくださったみなさまに感謝します。