トライデント(三つ又のホコ)でおなじみの、海の神ポセイドン。その知られざる日常生活の物語です。
海の管理者ともなると、計算の仕事が大変な量になるのですよ(本日の海難事故何件とか、マンボウの出産統計とか)。部下にやらせれば(2010年代ならエクセルとか)いいようなものですけど、本人が生まじめな性格なので、全部自分でやるわけですね。別にこの仕事が好きってわけでもないけど、海関係以外の仕事は経験ないし。
で、年度末までにどうにか計算を終わらせて、全速力でオリンポスの上司に報告に行くわけです。地上の人間たちはそういう時しかポセイドンを目撃しないから、しょっちゅう大海原を駆けてるみたいに誤解しますけど。ポセ~イドン~は海を行け~♪。
いいかげん海にも飽きてきたポセイドン。彼の唯一のひそやかな望みとは・・・。
「これは彼の口ぐせだが、世の終末まで待つことにしているとか。そのときにはきっと、もの静かな瞬間がおとずれる。だから世の終末の直前に最後の計算を点検してから、そそくさとそこいらをぐるっとまわってみたいもの―」
文庫本でたった3ページだけど、いろいろ身につまされる小品。
ぜひ増田こうすけ画伯にまんが化してほしいものです。