小説の中の人とは異世界人なのか。それとも広い意味でこの世界の住人なのか。そんな疑問に答える一冊。
とりあえずの心覚えに、第四章の「諸説概観」の見出しを書き写してみます。
1、記述理論(ラッセル) 虚構的存在なるものは指示対象ではない。虚構名は論理的単位ではない。
2、偽装主張説(サール) いったん創造された虚構的対象はまじめな指示の対象となる。
3、還元主義(ライル) 虚構的対象についての命題は、本当はテクストについての命題である。
4、マイノング主義(パーソンズ) 虚構的対象は核性質の集合と一対一に対応する。非存在という様態で現実世界に属している。
5、理論的実体説(ヴァン・インワーゲン) 虚構的対象は現実世界に属するだけではなく存在している抽象的実体である。
6、種類説(ウォルターストーフ) 虚構的対象は、描写された通りの事物をその例として持つ類型、種類である。
7、寓意説(プランティンガ) いかなる虚構的対象にもそれと同一の実在の具体的個体がある。
8、代入的量化説(ウッズ) 虚構文が真であるとは、その文がしかるべき文脈で作品中に現れることである。
9、状況説(ハインツ) 虚構的対象は不完全なただ一つの虚構世界に存在する不完全な対象である。
10、de re可能多世界説(クリプキ) 虚構的対象は多数の世界にまたがって存在する、完全な、無矛盾の同一の対象である。
11、物理主義(クリプキ、カプラン、ドネラン) 虚構的対象は指示することができず、存在もしえない。
12、de dicto可能多世界説(ルイス) 虚構的対象は各世界で適切な役割を演ずる分身の集まりである。
13、de dicto超世界説(スタルネイカー、カリー) 虚構名は全ての世界を通じて同じ作用を持つ。
14、メイクビリーブ説(ウォルトン) 虚構世界は鑑賞者のゲームの世界へと拡張される。
15、de re心眼理論(ハウエル) 多世界にまたがる一対象をその性質によらずに同定することができる。
16、限界仮説と唯一仮説(スタルネイカー) 最小離脱世界はあり、しかもただ一つある。
・・・書き写すだけでもしんどいな。とりあえずプランティンガは勇者すぎ。おっとこ前やのう。
論理学者ならざる文学研究者の見解17も提示したいとこですけど、長くなったのでまたの機会にします。