核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「鼎談 海軍精神の探究」 『大洋』1942(昭和17)年5月号(4巻5号) その7

 「小林 この間日本の輸送船が潜水艦を沈めましたね。どうしてあんなに敵は拙いかと思ふんですが・・・・。
 平出 精神力が違ふのです。」
 
 かなり海戦の常識に反する出来事だと思うのですが、先日読んだ『太平洋戦争全史』や『昭和ニュース事典』では該当する事実は発見できませんでした。事実はともかく、そういう大本営発表があった可能性はあるので、今度の国会図書館行きでは1942年4月6日(この鼎談の日付)までの新聞をじっくり読んでくるつもりです。
 
(2022・7・30追記 「この間日本の輸送船が潜水艦を沈め」たなんて事実はありませんでした。そういう大本営発表もありませんでした。小林秀雄の発言は嘘です)
 
 この鼎談では笑いものにされていますが、対米戦争論に反対し続けた「日本人の一部分」は確かに存在しました。いずれは石橋湛山についても論じてみたいものですが、なかなか文献がなくて。
 イメージ 1 なぜか河上徹太郎の著作集はあるのに。念のために借りましたが、この「海軍精神の探究」が収録されていないのはもちろん、そんなものが存在した事実までが年譜から抹消されてました。