核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

バリ島沖海戦―亀井宏『ドキュメント 太平洋戦争全史』より

 海軍大佐平出英夫が小林秀雄河上徹太郎に「バリー島沖の海戦で、駆逐艦二隻で敵の巡洋艦二隻と駆逐艦五隻をやつつけた」と語った件(当ブログ5月22日 http://blogs.yahoo.co.jp/fktouc18411906/archive/2012/5/22)につきましての追加報告です。亀井宏『ドキュメント 太平洋戦争全史 ―戦場体験者300人取材・作戦解説47図収録』(講談社 2009)より。資料の少ないバリ島沖海戦についても、116~119ページに図入りで解説されています。
 
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 戦場における戦果には、事実誤認がつきものである。彼我の被害の内実を比べてみると、連合軍側は蘭駆逐艦ピートハインが沈没、蘭巡洋艦トロンプが中破、米駆逐艦スチュワートが小破。一方日本軍側は満潮大破、大潮小破の被害を出したにとどまった。巡洋艦三、駆逐艦七隻の連合軍は、わずか駆逐艦四隻(初め直接戦闘に参加したのは二隻)に護衛された輸送船団を撃ちもらすという結果に終わった。日本軍の大勝といっていい戦闘だった。
 (同書119ページ)
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 「やつつけた」というのは撃滅ではなく撃退のことだった、と解釈すれば、平出発言もまんざら誇大な戦果報告ではなかったようです。大本営発表の報道課長だからといって、いつも嘘ばかりついているとは限りませんでした。疑ってすみません。
 次は小林秀雄の「この間日本の輸送船が潜水艦を沈めましたね。どうしてあんなに敵は拙いかと思ふんですが・・・・」発言も検証してみます。1942年4月6日以前にそうした例があるかどうか。