核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

カビヤ、ホアグラ、トリッフェ(村井弦斎『食道楽』より)

 『食道楽』「秋の巻」冒頭の口絵説明に、世界の三大珍味がまとめて出てきます。
 「明治三十六年十一月三日帝国ホテルに開かれし天長節夜会の食卓を写せしなり」とあり、十三種の献立が紹介されています。
 
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 カビヤは魯西亜(ろしあ)産鱒魚(ます)の卵の製したるものなり。(略)
 第三の料理は雁肝(がんぎも)冷製寄物(アスピック ド ホアグラ ド ストランボルダ)といい雁の肝をゼリーにて寄せたるもの。(略)
 第六の松露入(しょうろいり)冷製鴫肉(しぎにく)(ベカシン トリッフェ)は仏蘭西ふらんす)松露を砕きて鴫の腹へ詰め、
 村井弦斎『食道楽(下)』岩波文庫 2005 原著1903 14~15ページ)
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 一方、本文の別の箇所(436ページ)には、「雁臓(がんぞう)即ちフォーグラーというものは多く鵞鳥(がちょう)の肝だそうですが」とあります。表記も定義も微妙に違うので、もしかしたら上記の口絵説明は別人が書いたのかも知れません。
 しかし気になるのはカビヤ(キャビア)です。日露戦争開戦の約三ヶ月前によく入手できたものです。