核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

内務省警保局「不敬・反戦反軍の記録」(『日本平和論大系 15』日本図書センター 1994 より)

 戦時下の国民は黙ってなんかいなかった、という貴重な記録です。
 内務省警保局の側も反戦反軍者の検挙に全力を挙げたようで、検挙数は以下の通りです(上掲書316ページより抜粋)
 
 昭和17年4月より18年3月 総件数308件 月平均25件弱
 昭和18年4月より19年3月 総件数406件 月平均34件
 昭和19年4月より20年3月 総件数607件 月平均51件弱
 
 「反戦反軍的言動の発生件数は昨年度に至り前年度に対比して一躍四倍に昇って居る」とのことです(56件から224件に)。
 実例は読んでるだけで痛ましくなるのですが、一例だけ紹介します。
 
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 前略・・・・・・一体何時まで私共は之(こ)の苦しみ之の恐ろしい思いを続けていったらよろしいので御座いましょうか。政府や軍部の人間は只(ただ)掛け声ばかりして居て国民をこんなにも沢山死なせてまだまだ毎日ざくざく死なせてよくも平気で居られたもので御座いますね。
 一体我々国民を人間と思っているので御座いましょうか。戦局が少しでも有利な時にはまるで自分達が勝った様なことを言い、少しでも不利な時には国民に塗りつけて何んという恐ろしい人々でしょう。今迄はこんな恐ろしい国だとは思って居りませんでした。今度の戦争で日本という国が情も容赦もなく恐ろしい国だと言うことが初めて判りました・・・・・・云々。(徳富蘇峰宛投書)
 (上掲書 323ページ)
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 ・・・なんで徳富蘇峰あての投書が内務省の手にあるのでしょう。いや、想像はつきますけど。