核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

星一『支那の歴史』(1938)

 日中戦争期の星一による中国史。特に扇動的な内容ではなく、手堅く(無難に)まとまっています。
 まっさきに春秋時代の記事を読んでみたのですが、向戌の弭兵(軍備廃絶)の会についての記述はありませんでした。
 代わりにというか、戦国期の墨子についての記述に、「弭兵」の語が使われていました。

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 八 墨子儒教に反対して(略)非攻論を提唱し、根本的弭兵解兵方法として「他の国を見ること我国の如く、他の家を見ること我家の如くし、他人の身を見ること我身の如くせしめるにあり」と無差別生活の兼愛を主張した。
 (286ページ)
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 特に星一墨子を高く評価しているというわけでもありませんが(「墨子の兼愛説は国民性の上に立ったもの」との感想があるぐらいです)、少なくとも「弭兵」という概念の存在は知っていた。向戌と星一をつなぐかすかな線として引用しておきます。こんなことに興味を持つのは私だけかもしれません。