核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

井原西鶴「筋目をつくり髭の男」(『武家義理物語』巻六 1688)

 岐阜中納言秀信公(織田信長の嫡孫、三法師の成人後の名)が出てくるので、1590年代の設定のようです。
 ある場で一休の名僧ぶりが話題になり、ついでに蜷川新右衛門は文武の人との評判も出て。ある浪人が自分こそ新右衛門の孫の蜷川新九郎と名乗り出ました。武芸も歌道も大したことないのに評判になって、ついに秀信公に仕える身分に出世してしまいました。
 しかし刀が偽物とばれたり、後に本当の子孫が出現するなどしてボロが出、ついに切腹でさえ許されずに打ち首に、というお話でした。
 一休さんといえば新右衛門さんという連想は、少なくとも西鶴の時代には成立していたようです。
 この話、小学生時代に「西鶴物語」という子供向けの現代語訳本で読んだんですけど、妙に挿絵が怖かった記憶があります。太鼓の中の小坊主が盗聴する話とか、蛇嫌いの侍が恐怖を克服する話とか。