核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

江畑謙介「ボスニア配備「非致死性兵器」の効果」(『世界週報』1997年12月9日)

 もう18年も前の論ではありますが、問題提起は現代に通じるものがあります。

 「武力衝突の当事者が一般住民である場合、平和維持・執行部隊は本来、それらの一般住民を助けるために赴いているのに、その人々に銃を向けるのであるならば、何にもならなくなってしまう点である。そうかと言って、何もしなければ一方的に押しまくられるだけで、平和維持・執行の役目が果たせなくなってしまう」
 江畑謙介ボスニア配備「非致死性兵器」の効果」(『世界週報』1997年12月9日 42ページ)

 そのジレンマから生まれたのが非致死性兵器。この頃はまだゴム弾・スポンジ擲弾・染料弾などの直接的、悪く言えば原始的な原理の非致死性兵器が主流で、江畑氏も「軍の装備を増やすだけ」で「従来の武器に代わるものではない」という方向に結論しています。
 以前に扱ったように、2010年代の非致死性兵器は電子的な方向に進歩をとげているわけですが、まだ従来の致死性兵器に代わるにはほど遠いようです。道の遠さをあらためて感じます。