核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

敵と共存する倫理と構造主義

 ウラジミール・プロップという学者は、大量のロシア昔話を収集・分析し、構造主義の祖と言われるお人ですが。

 「イワンは悪い魔女と平和的に共存する道を選びました。めでたしめでたし」

 なんてのは、彼のコレクションにもないんじゃないかと思います。めでたくないし。敵対者は主人公や助力者によって最後には退治されるというのが、プロップが発見した昔話の主要なパターンです。
 一方、世界平和ですが、

 「英雄たちの活躍で、悪の帝国は滅び、永遠の平和が訪れました。めでたしめでたし」
 
 というような昔話的なものでは、私は「ない」と思っています。むしろ世界平和とは、「悪」とか「敵」と思われる存在とも非暴力的に共存しながら、すこしずつそれらの害を無力化していくという、闘病生活や防災活動にも似た「終わりなき物語」であると考えています。
 そのためにはどうすればよいか。アプローチの方法は色々考えられるわけですが、文学研究を専門とする私としては、過去の文学作品から、敵と共存するためのテクニックを学ぶ、という道を考えています。それには従来の物語論構造主義に代わる、平和文学理論とでもいったものが必要になるとも。