核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

敵と共存するための倫理に向けて

 小林秀雄を調べている関係上、「近代の超克」などという、ご大層な名前の座談会の記録も読んでみたのですが、その名にふさわしい知性ある言葉にはついに出会えませんでした。超克どころか逆行です。
 本当の意味で、近代(おおざっぱにいうと、戦争と経済競争の時代)を超える思想があるとすれば、それは「敵と共存するための倫理」あたりだと思うのですが、いかがでしょうか。
 あまり景気のいい気分になる思想ではないかも知れません。「敵を滅ぼす」とか「敵を味方につける」といった、人類が旧来慣れ親しんできた考え方に比べると。私も正直、小林秀雄のような人間と共存するのはあまりうれしくありません。
 とりあえずは虚構の世界(小説とかアニメとか)で、「敵たちと対立関係を保ちつつ共存する作品」が、もっと増えないものでしょうか(私が知らないだけかも知れませんが)。世界平和への道はそのあたりにあると思うのです。