核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「決戦下精神上の問題 日本文化の知的参謀本部」(『日本学芸新聞』一九四三(昭和一八)年四月一日) その4 三枝博音

  ウィキペディアでは、「1928年無神論運動を起こす。1931年半年間ドイツに留学、世界観の変革に多大な影響を受けた。1932年戸坂潤らとともに唯物論研究会の創立に参加。機関誌『唯物論研究』の初代の編集部長となる。1933年思想弾圧により1ヶ月間拘禁の難に遭い教職を辞した。この事件を機に富士川らの薦めで日本哲学思想史の本格的研究を始めた。戦後は」と、戦時中の事績がぽんと飛んでいる三枝博音。その隙間を埋める資料です。

 「ルネツサンス以後の近代文明にたいして根本的に大東亜戦争に依つて本当の事実的な批判が行はれる、斯ういつて見たらよいと思ひますが」と、「近代の超克」あたりと大差ないことを言っています。

 さらには「日本の神道の方の学者」、具体的には富士谷御杖という「偉い思想家」を讃えて、「西洋人の考へ方」からの脱却を説いています。

 ……無神論運動はどこに行ったんでしょうか。戦後はまたすぐに『資本論弁証法』(時潮社 1946)なんて本を出しています。無節操な哲学者もいたものです。

 次回は、いよいよ小林秀雄