2017年度日本認知科学会第34回大会とのこと。前回と同じお二人による、物語自動作成論の続きです。
今回は「ギャップと驚き」がテーマ。ありふれた物語の動詞や名詞を入れ替えてみたり、関連のなさそうな一行をはさんだりすることによって生じるギャップ値を測定しています。
結果を見ると、個々の要素を入れ替えるよりも、場面構造そのものを延長・省略した物語のほうがギャップ値が大きくなっているようです(「まだ続くんかい!」「それで終わりかい!」といった感想ですね)。
「驚き」は物語にとって必要不可欠な要素であるにも関わらず、これまでの物語論では軽視されてきた要素だと思います。こうした研究の進展は喜ばしいことです。
プロップらの研究にけちをつけるつもりはありませんが、構造主義というのは「読み終わった後の読者・結末を知っているすれた読者」を想定しすぎているように思うのです。『桃太郎』をはじめて聞く幼児のような、驚きたい面白がりたい笑いたい素朴な読者のための物語論。そうした物語論を考えていきたいものです。
なお、前回言及したゲーム『ティル・ナ・ノーグ』ですが、PSではなくPS2対応であること、AMAZONでの評価はあまり高くないことが判明しました。物語構造はそのままで要素だけの入れ替えでは、やはり飽きるのも早いということなのでしょう。……一応探してはみます。