核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

小野淳平・小方孝「ゲームのための自動生成機構 ―物語自動生成ゲームの開発に向けて― 」

 検索したらでてきた論文。2016年度日本認知科学会第33回大会とのこと。
 
 ttps://www.jcss.gr.jp/meetings/jcss2016/proceedings/pdf/JCSS2016_OS08-6.pdf#search=%27%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%81%A7%E7%89%A9%E8%AA%9E%E3%82%92%E7%94%9F%E6%88%90%27

 文学研究とTRPG実践という、いわばトンネルを両側から掘り続けてきた私にとって、光をかいま見せてくれる論です。2019年の今日ではさらに進んだ研究があるのかも知れませんが、CiNiiでは英語の論文ばかりヒットするので(読めないのです)、こちらを紹介します。
 アナログ(TRPG)、デジタルの両面から、人物・場所・世界設定などを自動生成するゲームを扱っています。
 ただ、さんざん「サイコロを振って、出た目に応じた表の項目を参照」(一七九ページ)してきた私が言っていいかわかりませんが、「骨組み」と「肉付け」の違いは重要だと思うのです(この論でも、まさに「骨組み」と「肉付け」という言葉が使われています)。
 ウラジミール・プロップの、あのまさに魚の骨のような形をした魔法昔話の構造図は、文学部出身の方なら一度は目にしたことと思います。偉大な発見だとは思いますが、あの構造だけで「面白い」物語が作れるかといったら疑問なわけで。物語群の相似点ではなく相違点、魔法昔話に大量のバリエーションを生み出させてきたまさにその欲望を解析しないことには、魚の骨だけを見て刺身の味を語るようなことになるのではないでしょうか。
 私自身は自作の自動生成ツール(先日紹介したやつより古いバージョンの)で八一編のショートシナリオを作り、その三分の一ほどを実プレイしてみたわけですが、やはりプレイヤーの方の面白がり方にはばらつきがあることを感じました。構造だけでは説明できない何かが、少なくともファンタジーにはあるようです。
 なお、プレイステーションで「ティル・ナ・ノーグ」(シナリオ自動生成のRPG)が出ていることは、この論文で初めて知りました。感謝とともに、今度秋葉原に行ったら探すつもりです(2019・2・6追記 PS2の誤りでした)。