核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「化学原理を利用した これが新しい非致死性兵器だ!」(『防衛技術ジャーナル』2007年2月号)

 「イラストでよむ将来兵器!(第23回)」。文 木村潤一 絵 清水香代。
 前回紹介した江畑論文から十年。ゴム弾やスポンジ弾程度しかなかった非致死性兵器の、21世紀の進歩ぶりを示す文献です。
 以下、要約で。

・車両テロ対策 燃焼促進剤によるエンジンの破壊
・同 燃焼抑制剤によるエンジンの停止
・車両(暴徒)機動阻止 テフロン系滑剤 通称「インスタントのバナナの皮」
・粘着剤による暴徒または犯罪者の拘束

 戦時中のまんが『のらくろ』に、とりもちや磁石で敵を殺さずに戦う話がありましたが、それに近い非致死性兵器は実現しつつあるようです。
 ただ、この文献では技術面の紹介のみにとどまり、非致死性兵器の倫理的な側面にふれていないのが気になるところです。たとえば、これらの非致死性兵器がほかならぬテロリスト側や、非人道的な政権によって使われた場合はどうなるのか?木下尚江のいう「定九郎の印籠持」、つまりテロや戦争や市民弾圧を美化してしまう道具になりはしないか。そうした問題も考えていきたいところです。