核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

他人が攻撃されていると安心する心理

 こうした知見が、ネット上の風評被害軽減にどれほど役立つものかはわかりませんが。

 たとえばバイト先で、怖い上司が(自分ではなく)同僚に怒っているのを見ると、とりあえず安心してしまう心理。他人の不幸を喜ぶ心理とは少し違って(いやしさでは同じようなものですが)、安心してしまう心理。

 ネット上で「叩いてもいい」雰囲気の人が出るとつい「祭り」に参加してしまう心理も、それに近いと思うのです。

 何もネット時代に限ったことではなく、伊藤整の『日本文壇史』によれば、山田美妙の悪口を書けばとりあえず批評の形が整う、という明治期の一時代があったそうです。村井弦斎を「婦女子向き」と貶めれば芸術家気取りができる、といった型の批評も、私は何度か目にしています。

 根底は、自分自身が名指しで攻撃されることへの恐怖があるのでしょう。

 そういう心理が存在するということを、とりあえず指摘しておきたいと思います。