核兵器および通常兵器の廃絶をめざすブログ

近代文学研究を通して、世界平和を考えています。

「死ぬか、気が違うか、それでなければ宗教に入るか」

 夏目漱石『行人』中のセリフです。が、そのどれも選ばず、苦悩を何らかの形で乗り切った近代人も当然多いわけで。

 以下、『行人』が書かれた一九一〇年代以降の、近代人(おもに文学者)たちのたどった第四第五第六……の道を、なるべく歴史上の順序に即して追っていきます。

 美に耽(ふけ)ると書いて耽美派谷崎潤一郎のようにその道をひたすら進んで大成した例もありますが、芸術至上主義というやつは自家中毒・マンネリに陥りやすいものでして。

 マルクスソビエト連邦の成立は世界に衝撃を与え、社会主義共産主義の実現がにわかに現実味をおびました。プロレタリア文学の勃興。それは経済面の主義にとどまらず、人に生きる方向をも与えました(私としてはそれを評価はできませんが)。

 天皇軍国主義。弾圧されてマルクスから転向した者たちも、芸術派から日本伝統回帰を経て合流した者たちも、太平洋戦争を経験した文学者のほとんどは戦争に加担しました。全集から削除された小林秀雄の言動を見れば、戦争が彼(ら)をいかに愉快にさせたかよくわかります。

 アメリカ。資本主義とか自由主義とか呼んでもいいのですが、要はアメリカです。在日米軍核の傘に守られ、その下での経済的繁栄を謳歌する。

 ふたたびマルクス。60年安保に1968年、70年安保。そして流入するフランス現代思想ポストモダン

 以下時代はバブル→はじける→新保守主義と続くわけですが、近(現)代文学者を支える思想としては、一通りなぞった感じです。これら大きな流れに属さない人々も存在することは、もちろん承知の上で。

 そういうお前はどうなんだ。私自身が今日までどうにか自殺も発狂も入信もせずにいるのは、一言でいえば絶対平和主義と出会ったおかげです。二~三十代の頃はずいぶん苦悩し、人に迷惑もかけたものですが、今では苦悩する時間も惜しいです。